【書評】21Stepで体得 Vue.js ハンズオン〜Vue 3の数少ないの学習書〜
一言で言うと?
日本語がわかりづらい Vue.js の中級者向けの本です。
Vue 3 に触れられている数少ない日本語書籍です。
ページ数が650ページ近くあるので、鈍器としても活用できます。
読んでみての感想ですが、初学者が『21Stepで体得 Vue.js ハンズオン』から入ると必ず挫折します。初学者じゃなくても、 Vue.js の公式チュートリアルなどと並行して読み進めた方がいいです。
良いところ
Vue 3 の内容について解説された数少ない日本語書籍です。
「ちゃんと説明されている」とは感じませんでしたが、Vue Composition API について触れられているのが Good です。
後述しますが、本の構成的に、『21Stepで体得 Vue.js ハンズオン』のサンプルコードを順番に読み進めながら理解するのは難しいです。
また解説自体も非常にあっさりしたもので、「知らなかった概念を理解できるようになる」ものではありません。
ですが、色々とたくさんの概念を網羅的に「触れて」いるので、本の中に出てきた内容を検索して、詳しい解説を探しながら読み進めていくと、Vue 3に対する理解が深まります。
『21Stepで体得 Vue.js ハンズオン』で勉強するというよりは、勉強する内容のインデックスとして利用するのが正しい使い方です。
最初は学習のインデックス代わりに使って、ある程度 Vue.js の理解が進んだ後にもう一度、サンプルコードを読み解いていくと、著者の言いたいことがそこそこ理解できるようになる気がします。とはいえ、わかりづらいことには変わりありません。
悪いところ
とにかく日本語が読みづらいため、著者の脳内を想像しながら読み進める必要があります。
読み手の負荷が高く、下手くそなソースコードを読んでいるようなストレスがあります。
ハンズオン(実習形式)を謳っておきながらもサンプルファイルの命名がめちゃくちゃで、「今、ここで説明されているのはどのファイルだ...?」と常に迷います。
ちなみにサンプルファイルの名前はこんな感じで、全体像は一切示されません。
断片が意味不明なファイル名で羅列されています。
『21Stepで体得 Vue.js ハンズオン』を読みながら、実際にハンズオンをやり遂げられる人はほとんどいないと思います。
少なくともその場でその場で写経しながら読み進めるのではなく、ある程度先まで読み進めてから「自分でゼロから実装するつもり」で、サンプルを書き起こしていく進め方を推奨します。
順番に説明を理解しようとすると迷子になります。
説明の工程も降って湧いたように突然知らない概念の紹介に入るので、見えない角度から殴られてるような気持ちになります。
全623ページと辞書並みに分厚い割に「公式ガイドの情報を参照してください」がたくさんあり、色々な情報はたくさんありますが、解説が詳しいわけではありません。
分厚い理由は同じようなサンプルコードを形を変えて何度も全文掲載しているからで、まともな編集者がちゃんと編集していれば、ページ数は2分の1になるような気もします。
とにかく著者の情熱が空回りして、日本語を話したいのに話せない外国人が必死に身振り手振りで何かを伝えようとしているも何を言ってるのかよくわからない、そんな本に仕上がっています。
ソースコードのダウンロードページがHTTPS化されておらず、またリストになっている書籍名が「画像」になっているため、検索もできません。 最悪の UX です。
Vue.js で出版社のサイトを書き換えるべきでしょう。
Vue 3 にも触れられていて貴重な本ではあるのですが、いかんせんマイナス点が大きすぎて、手放しでは勧められない1冊となっています。
かといって、立ち読みするには分厚すぎて、本屋で買おうかどうかを判断するのは難しいでしょう。
良さそうに見えて、困ったところもある、評価が難しい技術書です。
目次は?
1章 はじめての5ステップ |
Step 01:Vue.jsを理解しよう Step 02:データ入力アプリを作る Step 03:データ表示アプリを作る Step 04:データ更新アプリを作る Step 05:コンポーネント化してみよう |
2章 開発環境を準備しよう |
1:Vue CLIを使った環境構築 2:Vue CLIで選択できる機能 3:アプリケーションのひな形の作成 4:コードエディターの準備 5:デバッグ環境の準備 |
3章 「Vue.js使い」になる8ステップ |
Step 06:単一ファイルコンポーネント Step 07:同じものをTypeScriptで書く Step 08:サンプル開発を始めよう Step 09:ルーティングを導入しよう Step 10:UIコンポーネントライブラリ Step 11:ライフサイクルフック Step 12:バリデーションで入力値を検証 Step 13:Web APIでバックエンド連携 |
4章 実務に役立つ8ステップ |
Step 14:アプリケーションの構造 Step 15:状態管理 Step 16:部品化 Step 17:認証/認可 Step 18:エラーハンドリング Step 19:非機能検討事項 Step 20:単体テスト Step 21:開発プロセス |